八つの原則を章分けしている「オルフェウスプロセス」。各原則をわかり易く原則を紹介している。
序章 カーネギーホール
第一章 序曲:ルールが(また)変わった
第二章 その仕事をしている人に権限を持たせる
第三章 製品と品質に自己責任を持たせる
第四章 役割を明確にする
第五章 リーダーシップを固定させない
第六章 平等なチームワークを育てる
第七章 話の聞き方を学び、話し方を学ぶ
第八章 コンセンサスを形成する
第九章 職務へのひたむきな献身
第十章 終楽章:未来の構築
●紹介 オルフェウス室内管弦楽団は「オルフェウスプロセス」という創造的な手法を用いて、30年間も良質なパフォーマンスを示しながら活動を続けている。彼らが「指揮者不在のオーケストラ」という異例かつ危うい形態を選択したのは、従来の指揮統制型のヒエラルキーの下では活かしきれなかった、メンバーそれぞれの技術、能力、参加をより活かせるような環境を望んだからである。そのようなアプローチはオーケストラという専門的分野を超えて応用可能性を持っているという。
「オルフェウスプロセス」は八つの原則から成り立っている。八つの原則それぞれが楽団の中で如何に機能し、また、同様の法則が企業においてはどのように機能しているかについて紹介している。この本が、理想だけを謳った中身のないものにならないのは、「指揮者不在のオーケストラ」が実際に機能し、結果を残し続けているという現実があるからだ。本書の八つの原則を採用するか検討する際には、原則とその応用を良く理解し、かつ本に書かれていること以上を想像する必要がある。何故なら、この手法が最初から存在していたのではなく、手探り、試行錯誤の活動の中から紡ぎだされた手法なのだから。現実のオルフェウス室内管弦楽団における手法は今でも修正され続けている。
●「自由」ということ 「オルフェウスプロセス」のエッセンスは、「抑圧されている個人の創造性を解放し、信頼(=チームワーク)の下にそれらを結びつけて、従来以上のパフォーマンスを可能にすること」だと思う。それ以外の原則はこのエッセンスを支えるための環境の整備であるといえる。「自由」について考えることはその構図を良く示してくれると思う。
この楽団は少人数編成の室内楽からヒントを得て結成されたという。室内楽は少人数編成で指揮者は存在せず、楽団員の相互協力によって活動が成り立つ。それを30人程度の楽団にも応用してみたいというのは、現実的にはとても過激な発想であって、指揮者の抑圧から解き放たれる代償として、進むべき方向を見失ったり、意見が乱立してバラバラになったり、勝手気ままに行動してしまう危険にさらされる。抑圧からの解放が試みられるのは「各人の抑圧された創造性を解放し結びつける」ためであって、それが阻害されるならば、抑圧からの解放は悪い方向に進んでしまう。実際にそれが機能するためには創造性を最高の形で生かすための、仕組みが必要である。第四章冒頭では、心理学者のフロムの言葉を引用している。
「真の自由は、構造がないことー従業員に彼らが望むどんなことでもまかせて、実行させるーではなく、むしろ人びとが自発的かつ創造的な方法で確立した境界線のなかで働けるようにする明らかな構造をもっている。」
「自由」は、目的を追求するために必要であり、逆にそれを阻害するような「自由」はしっかりと制限されねばならない。創造性も、チームワークも、責任も、コンセンサスも目的に沿って初めて有機的に結合するのである。
●これらの原則を採用するために この組織が迷うことがあっても道を踏み外さないのは、組織としての目的がはっきりと共有されているからである。その目的とは、「より良い製品(音楽)を作り出し、顧客(観客、テレビ局、CDリスナーなど)に届ける」というものである。個々の楽団員の能力、技術、参加が活かせるような環境としての「指揮者不在のオーケストラ」の下で、「より良い製品を作り出し顧客に届ける」という構図がこの楽団における最重要コンセプトである。
個々の能力、技術、参加が最大限活かせるような環境にとても魅力を感じる。これらの原則を採用する際には、「自分(達)が何をしたいのか」を把握しておく必要があり、その目的を達成する為の方法として、ヒエラルキー型の手法ではなくこれらの手法を用いることに、メリットを感じて初めて採用するべきだと思う。原則に拘る余りに目的を見失うことがあってはいけない。例えば、コンセンサスをとることが最重要視されて、目的がないがしろになってしまっては、せっかくのプロセスも功を奏さないはずである。
Posted by fk at 2003年07月15日 01:40 | トラックバック