こたつとみかん

About

この展覧会には、私たちがこの研究室で培ってきたフィールドワークの秘訣が溢れています。
人と向き合う姿勢。観察することの面白さ。まちに対する新たな眼差し。獲得した多くの言葉。
軽やかなフットワーク。まちを、人を慈しむ心。
これまでに私たちは多くを吸収し、時に削ぎ落とし、フィールドワーカーとしての哲学を築き上げてきました。
日々の学びや出会いから多くの気付きを掬いあげ、自らの型を身につけてきたのです。

フィールドワーク展Ⅻ 「こたつとみかん」は、
そんな私たちの哲学を表現し、その世界観を世に問う場だといえるでしょう。
ここにあるのは、私たちが出会い、見て、聞き、触れて、揺さぶられた経験の数々です。
私たちが表現する世界の、その手ざわりを体感してください。

[ タイトル ]
慶応義塾大学 環境情報学部 加藤文俊研究室
フィールドワーク展XⅡ こたつとみかん
[ 日時 ]
2016年2月6日(土)〜8日(月) 11:00〜19:00(最終日のみ15:00まで)
[ 会場 ]
BUKATSUDO (横浜市西区みなとみらい2丁目2番1号 ランドマークプラザ地下1階)
[ 同時開催 ]
第9回加藤文俊研究室OB展

Message

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あっという間に一年が過ぎて、また「フィールドワーク展」の季節になった。 これまでの展示をふり返ってみると、 それぞれ個性があって、一つひとつがユニークな体験として思い出される。 だが、いつも同じような感情につつまれるのもたしかだ。 それは、祝福と感謝の想いだ。もはや、「フィールドワーク展」がないと、季節はめぐってゆかない。大切な一「区切り」を迎えられることを、心からうれしく思う。

加藤文俊

Contents

A year of HAIR WORK SUNRISE

秋庭 大志郎

集まりの共創
-金谷での仮設的な暮らし-

小川 健太

想い郵便

小竿 まゆる

都会の迷い方

齊藤 崇

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A year of HAIR WORK SUNRISE

秋庭 大志郎

人は暮らしを営む中で、どのように自らの人生を彩っていくのでしょうか? かつて抱いた夢を追いかけたり、運命的な出会いに揺さぶられたり。もしかしたら、気まぐれや成りゆきなんてことがほとんどなのかもしれません。これは、床屋を営むとある男性の暮らしに眼差しを向けた、一年間のフィールドワークの記録です。この取り組みの根に宿るのは「人の生き様」に対する飽くなき興味。私が目の当たりにしてきた光景をここに綴ります。

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集まりの共創-金谷での仮設的な暮らし-

小川 健太

秘密基地がある。それは空き地や原っぱに子供が作るものでなければ、公園の雑木林に設えたものでもなく、人々が集まるために意図的に設計されたものである。つまり、個人的な欲求を満たすだけのものではない。個人の界隈から人々が出会い、くつろぎ、つながり、再び「来たくなる」場所をつくりだすものだ。子供の頃に夢を見た自分のテリトリーを、誰かと共有する活動である。私はそのように人々が集まる金谷という地域に出会った。

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想い郵便

小竿 まゆる

誰かを好きになったり、思いやったり、気にかけたり、気にかかってしまったり。 私たちは本当に、誰かを「想う」ことをあたりまえにしているのでしょうか。 「想い」の存在を確かめたいという気持ちが、この卒業プロジェクトの出発点で した。 「想い郵便」とは想いを表現してもらうためのひとつの方法です。「想い郵便」 とともに過ごした時間を思い返すと、いくつもの想いに出会い、惹か れ、笑顔 をこぼしている私がいました。 私が感じた世界を、ここで、みなさんにお伝えします。

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都会の迷い方

齊藤 崇

都市から「都会」性が失われている! 新しい人やモノ・コトとの出会いが喪失した現代の都市。しかし、そうした出会いの存在こそが、ほんらい「都会」が「都会」たる所以のはず。失われた出会いを取り戻し、「都会」性を回復するために。自分のふるまいをほんのすこし変え、都市空間に存在する「ちがう世界」に足を踏み入れてみませんか?

異文化の中で生きる人たち
外国人留学生が見る日本

中島 彩也香

わたしたちの日曜日

枡野 友香

なに着ようどう着よう

原田 ふくみ

マチログ

堀越 千晴

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異文化の中で生きる人たち
外国人留学生が見る日本

中島 彩也香

夜中、ベッドで“early”を繰り返し言う練習をした。友人のジョークを一字一句覚えた。それでも、ネイティブのアメリカ人にはなれない。 中高時代の六年間をアメリカのケンタッキー州で過ごした私は、異文化圏で暮らすことや、そこに馴染むことの難しさに直面した。それ以降、他の人ならあの瞬間どう振る舞うのか、どう解釈するのか、未だに考える。本研究では、そんな思いを解消すべく、他者の異文化生活やそこでの変化を読み解いていく。

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わたしたちの日曜日

枡野 友香

わたしは、ある三家族の「日曜日」を一年かけて観察し続けました。週に一度写真を送り合い、集まった写真はとうとう150枚を超えました。そこに写るのは、子どもとの休日を過ごす、ささやかであたたかい姿。それらを見て感じ取ったことを、論文とは別の形で表現します。これは、三家族の「日曜日」をあつめた記録であり、そして、家族とともに一年を過ごすことで少しずつ変化していくわたし自身の記録でもあります。

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なに着ようどう着よう

原田 ふくみ

「おしゃれってなんだろう...」「似合う服ってなんだろう...」、服を着ることから逃げられないわたしたちなら1回は考えたことがあると思います。このことについて、とある女の子に毎日のコーディネートの写真をもらい、インタビューの協力をしてもらいながら、約1年間、じっくり考えていきました。彼女に感謝の気持ちを込めつつ、みなさんに成果を発表します。誰もが似合う服を、着たい服を、笑顔で着ることができれば嬉しいです。

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マチログ

堀越 千晴

様々な理由から住む家を変えて暮らすことはごく一般的ですが、かくいう私はたまたまそのような経験が今まで一度もなく、生まれてからずっと東京都町田市のとあるマンションで暮らしてきました。しかし大学4年生の10月、人生で初めての引越が決まり町田を離れることに。なんだかもの寂しくなって、2015年の1月から毎日、町田の人びとをスケッチに表し続けました。でも、まちの記録に映ったのは、自分の記録でもありました。

Re:ともに走るということ

徳山 夏生

家の中のまなび

松浦 李恵

移動する「家族」(”Families” on the move)

大橋 香奈

爽やかな解散

2,3年生

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Re:ともに走るということ

徳山 夏生

昨年度のフィールドワーク展では、芸術大学に通うもなみさんの制作過程を捉えたドキュメンタリー「ともに走るということ」を出展しました。 あれから数ヶ月後、今度はもなみさんに、彼女の視点でフィールドを捉えたドキュメンタリー映像の制作をお願いしました。 私がこの2年間取り組んだのは、「つくることをふりかえる」ことを明らかにする研究です。その研究の一端を、2本のドキュメンタリー映像とともにお見せします。

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家の中のまなび

松浦 李恵

わたしは「人は家の中で学ぶための環境をどのようにデザインしているのか」をテーマに研究しています。 とくに、黙々と没頭しているような場面がどのようにしてデザインされたものであるのかに着目してきました。 そこで今回、家の中というちょっと踏み込んだフィールドの中で見えてきた学びの豊かさを作品を通して表現してみました。

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移動する「家族」(”Families” on the move)

大橋 香奈

世界各地で、国境を越える人の動きが増大し続けている。多くの人にとって、自分の暮らすまちで、外国からの移住者を見かけることは珍しいことではなくなりつつあるだろう。こうした国境を越えて移住する人びとの増加は、「トランスナショナルな家族」を生み出した。彼/彼女は、異国の地で暮らしながら、母国や他国に暮らす「家族」との国境を越えた交流を続ける。本作は、移動のなかで形成・維持される「家族」の姿を映し出す。

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爽やかな解散

2,3年生

「爽やかな解散」は、2015年度春学期のフィールドワークでえられた知見を前提に、場づくりのための装置(道具)をつくり、実際にまちなかで実験をおこなうプロジェクトです。それは、設営(集合)や撤収(解散)のための方法と態度を開拓することによって、場づくりに対するあたらしい理解を創造する試みです。出会うこと、集うことだけに注目するのではなく、別れや再会にも目を向けることによって、日常的なコミュニケーションを、絶え間なきプロセスとして実感してみたいと考えています。

加藤研の壁

加藤文俊研究室

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加藤研の壁

加藤文俊研究室

わたしたちは、今年も多くの時間を共にすごしてきました。これは、まち、ひと、想いと出会った1年間という時間の記録です。 「加藤研の壁」では、ほぼ毎週火曜日にある研究会の番組表や、7回開催されたキャンプで作成した63枚のポスター、そのまちのひとやモノについて文章を書き発行したかわらばんなどを展示しています。わたしたちがどのような活動をし、どのようなことを考えているのかをじっくりと感じていただければと思います。

Access

BUKATSUDO
横浜市西区みなとみらい2丁目2番1号
ランドマークプラザ地下1階
Tel:090-1732-1421(担当:小竿)
Mail:kotatsutomikan{at}gmail.com

みなとみらい線「みなとみらい」駅 徒歩3分
JR市営地下鉄「桜木町」駅 徒歩5分