三回おいしい

柿嶋 夏海・津田 ひかる・中原 慎弥

究極に至福なひととき。私たちはそれぞれが幸せだと感じる瞬間について思いつく限りに書き出した。そのときに一番ピンときたのが「極寒のラーメン」だった。文字通り、ものすごく寒くて体が冷え切っているときに食べるラーメンは格別だという話だ。寒いからこそ、温かいラーメンが染みる。よりおいしく感じる。寒いという状況がラーメンの至福感をより大きくするというのは誰もが経験的に知っていることのように思う。わたしたちは「至福」というものが状況によって変化する相対的なものであるということに気がついた。つまり「至福」がモノ、ヒト、場所という3つの条件によって構成されているのなら、必ずしも3つともがスペシャルでなくても、至福は成立するということだ。
 
例えば「至福」という言葉をきくとプレゼントや旅行などの特別感の強いものが連想されがちだが、そんなに特別なものでなくてもわたしたちは至福を感じているのではないか。小さな、日常的な出来事であっても、状況次第で至福なひとときになり得るのではないか。わたしたちはそんな些細な幸せにフォーカスしていくことを決めた。
 
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