『XXの社会学』を考える

Sociological Books of Every Damned Things

 

毛の社会学

岩崎 はなえ
 
毛は最も気軽に変容可能な身体である。ヘアカットやヘアカラーは多様な組み合わせにより何万通りもの自分らしさが形成されるが、髪の毛よりも下の毛に目を向けてみるとどうだろう。「ムダ毛」と名指されたそれは、徹底的に除去されなければ嫌悪の対象となる。生える部位によって、飾るべきものからなくすべきものへと価値判断が変化する毛は、非常に私たちの社会的なふるまいを表しているのではないだろうか。
本書では、個人の選択のように思われる毛の手入れの背景にある社会的なプレッシャー、そして自己責任的に選択させられてきた毛の現在について考える。