工夫と修繕 ::: イケイケ☆ランプ

イケイケ☆ランプ

大川朝子・田中優里・廣野𠮷隆

はじめて

04.jpg【イケイケ☆ランプ】東京都中央区銀座8丁目 ※クリックすると拡大表示されます。10月18日、雨の日だった。「ん?あっ、コレは撮る?」

この頃の私たちは、『銀座のまち』という意識から離れたところにいた。カメラを構え、ひたすら撮って、まちを歩く。私たちは探すことで頭がいっぱいになっていたのだ。まずは工夫と修繕をどう採集し、どう捉えるか考えることが必要だった。

はじめに歩き方から考えた。銀座の〈まち〉を八つのブロックに分けて歩くことにした。銀座の地図をペンで区切ると、体力的にも気持ち的にも少し余裕ができ、まちを見る視界が広くなった。「ひとが多い」だとか、「ちょっとオトナの雰囲気がある」など、まちの情景に目が向くようになり、次第に『工夫と修繕』の捉え方が変わってきた。

そもそも『工夫と修繕』とは何か考えるため、「モノ(コト)」×「コト(モノ)」、このような公式に当てはめてみた。それらを組み合わせると、〈修繕された〉もの、〈工夫して修繕された〉もの、〈修繕して工夫した形になった〉ものの三つの項目が浮かび上がった。

例えば、「割れたコーン」×「テープ」。コーンに車がよくぶつかるのか、破損したものがあちこちで見られ、それらはテープで修繕されていた。「とりあえず、その場をしのぐ」ための修繕に見えた。次に、「店の壊れた看板」×「ペットボトル」。暗い路地裏で見つけた看板は、壊れている半分がペットボトルでできていた。これはいかなる「工夫」なのか。透明なペットボトルによって、中の蛍光灯の姿が丸見えにはなるが、「光る看板」としての機能を、そのペットボトルが上手く引き継いでいるかのように見え、工夫された修繕のように感じられた。他には、「自転車」×「木の板」。道路と縁石の高さの差を木の板がピタリと揃え、上手い具合に駐輪できるようになっている。このまちでは、細い路地とはいえ、車の通行量が多い。普通の乗用車だけではなく、物資を運んでいるトラックが走っている。そのため、自転車を安易に停めることはできない。結果的に高さを揃えた修繕が車の邪魔にならないように壁際に停める工夫に繋がっていた。

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フィールドワーク展Ⅸ:おでん