食卓を囲むまで

小川健太・小竿まゆる・四十万琢海・原田ふくみ

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縁もゆかりもない団地で、ゼロから関係性を築くことの難しさを知ったフィールドワークであった。それは団地の暮らしの実態を調査するために必要な手段であり、方法であった。

私たちは、ゆきこさんという女性と出会う。この出会いは、私たちの活動を大きく動かした。ゆきこさんは旦那さんとの結婚をきっかけに7年間洋光台で暮らしている方で、料理の師匠でもある先生のアシスタントを行いつつ、隣町で自ら料理教室を開いている。料理を作り、教えている彼女の暮らしの中心はキッチンだ。手入れの行き届いたこの空間には、団地ならではのスペースの狭さを克服するさまざまな工夫があった。また、ゆきこさんは日常的にパンを作っている方で、パンを捏ねるために机を動かすとき、隣接した住民の迷惑にならないように机自体の支柱に緩衝用の布を敷くといった工夫もしながら生活を営んでいる。ゆきこさんならではの暮らしがキッチンに詰まっていた。

ゆきこさんと私たちの近づき方は、とても不器用だった。しかし不器用ながらも丁寧に関わろうとしつづけた結果、私たちは着実に彼女に近づき、暮らしぶりをこと細かに見つめることができたのだ。


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慶應義塾大学 加藤文俊研究室(2014年度秋学期)