いけずなまち 2 It could have been better

ルート


阿曽沼陽登・梅澤健二郎・芳賀友輔・和田悠佑 

  
いけずさを映し出したムービーをつくる。与えられた課題のためにまちに出たものの、いざ撮影しようとするとぼくたちは戸惑った。というのも、先学期のフィールドワークからみなとみらいというまちのいけずさを感じてはいたが、実際にそれを「映像」を使って表現するにはどうしたらよいのか、ぼくたちは一切の知見を持ち合わせていなかったからだ。
そこでまずはじめに考えた方針は「わかりやすいいけずさを撮る」ということだった。グループワークの中で、みなとみらいにおける特徴的ないけずさはいくつか上がっていた。それらを映しだせばムービーは出来てしまうのではないか。そんな安直な考えがあった。あらかじめ想定されるいけずさをねらって、それらを撮影できることを期待して、みなとみらいの各地点にカメラを持って向かった。
結果、それは失敗した。ただ数秒の映像を見ただけでわかるようないけずさは映像の可能性を十分に活かせているとは言えず、あまりに説明的に見え、端的につまらないものだったからだ。こうしたフィードバックを受けていく中で、ぼくたちは映像作家のように振る舞っていたことに気付かされた。これは決して映像作家が悪いという意味ではない。ぼくたちはフィールドワークもそこそこにまちの姿を勝手に想定し、その「自分たちに都合よくつくりあげたまち」を撮るためにまちと向き合ってしまっていたのだ。フィールドワーカーとは呼ぶには程遠い在り方だった。
 
ぼくたちはもう一度フィールドワークとの向き合い方を考え直した。ムービーがフィールドワークの成果物である以上、それらはフィールドワークに基づいたものでなければならない。そうであるならば、ぼくたちが想定するみなとみらいの風景をねらい撮影に行っているようではだめだ。日常のみなとみらいを、ぼくたちがおもしろいと思ったありのままのみなとみらいの風景を、素直に、丁寧に映像で記録していくしかない。ぼくたちは気持ちを新たに、カメラと三脚を持って、すっかり寒くなってしまったまちに出た。→ つづきを読む(『いけずなまち 2』pdf版:http://vanotica.net/ichbb2/booklet.pdf
 
◎成果は2017年2月4日(土)〜6日(月)にかけて開催された「フィールドワーク展XIII:たんぽぽ」で展示・上映しました。