1分佐原。
ここ数年の活動のなかで、とくに重要視しているのは、ぼくたちがまちで見たこと・感じたことを、何らかのかたちで地域に還すことです。それは、調査の「成果」などととは呼べない、とてもささやかなものかもしれませんが、訪れた場所に、何らかのご縁ができたということ、そして、まち歩きをする機会に恵まれたことに感謝する方法でもあります。それが、「おきみやげ」と呼んでいるものです。
今回のフィールドワークが、いままでと大きくちがっているのは、発表の「場」が、より自然発生的に生まれたという点です。「合宿係」の学生たちがつくった「つながり」のおかげで、今回は改築中の「現場」をお借りすることができました。学生たちのフットワークが活かされたのも確かですが、佐原のまちの寛容さのようなものが、上映会を実現させたように思います。まちへの意識が高まると、おのずと外に対する向き合い方も変わってゆくのかもしれません。佐原のまち全体が、「よそ者」に対して、とてもオープンであることが印象的でした。
1日目(9月27日)にも、フィールドワークをすすめながら、「1分佐原。」と書かれたチラシを配布し、上映会について告知しました。もっと多くのひとを呼ぶことができればよかったのですが、おそらくは、集まった人数の問題ではないのでしょう。まさに大道芸のように、ひとときだけの「シアター」をつくるためにはどうしたらよいのかを考え、あたえられた場所で、やるべきことをやる。それが、大切なのです。どこへ出かけても、じぶんたちの「場所」をつくるための創意くふうが必要になるからです。そのためには、まちに暮らす人びととの関係性が、重要な役割を果たすことを、あらためて感じました。