黄金町
秋庭大志郎・井上千聖・齊藤崇
「引っ越す」ことの意味
空間というのは正直だ。僕たちを取り巻く空間は、常に一定の大きさを保ち、伸縮することをしない。しかし、時にその正直さが、柔軟性に富む僕たちの思考とそれに伴う行為を制約してしまうこともある。
大学のキャンパスにおいても、それは変わらない。理想的な授業と教室の関係においては、教室は授業の内容によって選択されるべきである。しかし、実際のキャンパスには個々の授業に対して最も適切な教室が用意されている場合は少なく、多くの場合は教室は妥協的に選択され、時にはそれが授業の内容に悪い影響を与えてしまうこともある。
これは、僕たちが研究会の活動を行う教室においても例外ではない。毎学期、絶えず変化する研究会の人数や内容に応じて、教室が適切な大きさへと形を変えることはない。たとえば研究会の人数が増えることによって、それまで居心地の良かった空間は突如狭くて居心地の悪い空間へと表情を変える。スクリーンが見えにくく、全員の顔が見えない教室は、僕たちの集中力を削ぎ、研究会活動の質を低下させる。
時とともに変化し続ける教室への要求に対して、僕たちには何ができるだろうか。僕たちの研究会では、日本各地へと赴き、その土地にあるものを利用して(時に自らの手を加えて)、即興的に必要な環境(=「教室」)をつくり出す「キャンプ」という活動を重ねてきた。
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● フィールドワーク展Ⅹ:じゅじゅじゅ
慶應義塾大学 加藤文俊研究室(2013年度秋学期)
こんなのもあります。|ちいさなトラック(2013)|工夫と修繕(2013)|常連になる(2012)|芬蘭風俗採集(2012)|まちのおみやげ(2011)|法政・明治・立教 ぐるり調べ(2011)|早稲田・慶應・東大 ぐるり調べ(2010)|おもしろさで変える(2010)|交わらない場所(2009)|