うちの芝生は青い
深澤匠・枡野友香・山田晴香
「授業の場」を探す
「引っ越し」というからには、まずは物件探し。そう思った私たちは、インターネットで授業の場として使えそうな部屋を片っ端から調べていった。カスタム検索で30人が入るのに十分な広さ、学校の最寄り駅である湘南台から一本の電車で行ける立地などの条件で絞り込み、検索結果に出てきた物件をしらみつぶしにチェックする。写真から部屋の雰囲気を想像したり、実際に内見に行って交通の便や部屋の広さを確かめたりもした。これを繰り返せば私たちの求める物件が見つかるかもしれない、と地道に物件探しを続けたが、不動産屋と話をするうちに、授業を主な目的として部屋を借りることは非効率的だと痛感していった。多額の初期投資がかかる上に、人の出入りする頻度と賃貸料のバランスが釣り合わないのだ。
そもそも、私たちはどのような空間を手に入れたくて物件を探していたのだろう。ここを整理しなければたとえ物理的な条件を満たす物件に出会ったとしても、私たちが望む授業の場として使いこなせるとは思えない。そこで、前提条件としてある「授業をする場」について深く掘り下げていった。
まず私たちの口から出たのは、「雰囲気」。現在毎週の活動で使用しているドコモハウスは、吹き抜けで高い天井が印象的なログハウスだ。適度にリラックス出来る空間は心地よく、柔軟な発想やアカデミックな(また、時にはそうでない)会話を誘発する。こうした環境は、私たちの感情や行動に幾許かの影響があると確信し、言葉では上手く表せないこの「雰囲気」にまず重点を置いた。次に、ほぼ毎回行われるプレゼンテーションを円滑に行えることが最も大切な条件であると捉え、機材の設備が整っていることなど物理的に欠かせない制約の下、プレゼンテーションに適する場を考えることにした。
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● フィールドワーク展Ⅹ:じゅじゅじゅ
慶應義塾大学 加藤文俊研究室(2013年度秋学期)
こんなのもあります。|ちいさなトラック(2013)|工夫と修繕(2013)|常連になる(2012)|芬蘭風俗採集(2012)|まちのおみやげ(2011)|法政・明治・立教 ぐるり調べ(2011)|早稲田・慶應・東大 ぐるり調べ(2010)|おもしろさで変える(2010)|交わらない場所(2009)|