路を回遊する
松田 旺大・吉田 優斗
はじめに
藤沢駅は平日・休日でも昼夜問わず、たくさんの人々で溢れていた。私たちが藤沢駅をフィールドに選んだ理由は人が多く、一見不規則に見える人の流れに法則を見出したり、その法則に逆らう人を見つけやすいと考えたからだ。駅には小田急線・JR・江ノ電の三種類の改札があり、それぞれ離れた場所に位置している。そのため、改札から藤沢のどこかに向かう人、藤沢駅からどこかの改札を通って電車に乗る人の大きな流れを観察するのに適していた。改札を出ると複雑に入り組んだ歩道橋と複数の出入り口があり、人々はそれぞれの目的地に向かって進んでいく。しかし、その出入り口の途中で、広場やビラ配り、路上のアーティストであったりと進行を妨げる役割を持つ空間や人が存在していた。私たちは複雑に入り組んだ駅を「水路」のように見立て、そこに溢れる人流を「水流」に、流れに乗る一人一人を「魚」と見立て、その流れを堰き止める役割を持つ空間や人を「堰」と見立てた。
日曜マーケット
日曜日には多くの屋台が藤沢駅の北口エリアに出店していることがあった。コンセプトは週によって異なり、私たちが訪れた時は台湾フェスや映画フェスなどが行われていた。台湾フェスの時は台湾の飲食物やグッズが販売されており、映画フェスの時には大きなスクリーンが広場に建てられていた。日曜日は元々人が多い藤沢駅周辺だが、日曜マーケットが行われている日はいつも以上に人で溢れかえる。人々は広場や近くのベンチに集まり会話や飲食を楽しんでいた。このようにして、日によっては人流に影響を及ぼす大きな「堰」が出現することもあった。用がない人でも足を止めることがあるため、この影響力は大きい。
流れに逆らう人々
主に改札に向かう流れと藤沢市内各地に向かう流れが存在しており、出勤・通学などの理由で明るい時間には前者、日が落ちると後者の流れが強くなる傾向がある。しかし、その流れに逆らって行動する人も観察することができた。例えば、人を探しているのか、道に迷っているのか、小田急改札周辺をぐるぐると回っている人や人の間を縫って自転車を漕ぐ人などがいた。実際の魚でも観察できるように、逆流して行動する人々が稀に存在していた。
つづきを読む『ささやかな抵抗』冊子版(PDF)→ sasayaka.pdf