ぐるり調べ ::: 早稲田

早稲田

早稲田の顔

waseda.jpg「早稲田ぐるり 2010」飯田達彦・川村恵理・根岸明子・森部綾子私たちは約4ヶ月間、およそ週に1回のペースで早稲田に通った。SFCは周辺に何もない郊外型キャンパスであるため、早稲田は私たちにとって魅力的な場所として映った。
たとえば、キャンパスから徒歩5分圏内には、多種多様な飲食店が軒を連ねる。「ぐるり調べ」にあたって、私たちが「キッチン」と称した類は、オーナーが一人で切り盛りする小ぢんまりした構えではあるが、お昼や夕方にはにぎわいをみせるようなお店だ。それから、本や資料を広げて、何時間居座っても大丈夫なカフェもある。中華料理店やカレー屋、それに飲み屋、もちろんファストフード店もある。安い値段でお腹を満たしてくれたり、休息を与えてくれたり、その時々で私たちが求めるものに応えてくれる居場所がある。

飲食店のみならず、コピー機がずらりと並べられた文房具屋、卒業論文を仕上げてくれる製本屋、きれいな本屋から、使い回しの教科書が安価で売られている古本屋など、学生のための店が多いのも特徴的である。
そして長い歴史の跡を、ところどころに見ることができる。リサイクルショップに姿を変えるも、昔は学生が集うビリヤード場だったのかもしれないと思わせる「東京撞球業組合員章」の錆びた小さな看板や、いつ来てもシャッターがおりっぱなしの学帽店、ガラス張りの店内に学ランが置かれている洋服店、早稲田大学指定の古びたメガネ屋や時計屋などが点在する。

これらすべてを結んでいくと、大学まちが浮かび上がってきた。私たちはさも早稲田生になったかのように、くまなく直径1キロメートルを歩き回り、ときにはキャンパスや店内に入り、学生たちの様子も観察してきた。早稲田大学を中心とした半径500メートル圏内にあるお店の分布そのものは、現代においてはひょっとしたらインターネットで手に入る情報かもしれない。しかし、幾度となく足を運ぶなかで得られた、まちでふれたもの、感じたものの記録は、具体性を帯びて語られる「ぐるり調べ」の情報なのである。

フィールドワーク展VIILinkIcon

さらにくわしい調査結果や写真は、2011年2月4日(金)〜6日(日)に開催される「フィールドワーク展VII」(ギャラリー やさしい予感)でご覧ください。成果をまとめた冊子、『早稲田・慶應・東大 ぐるり調べ』(A5変型・16ページ)は、会場で配布しています。