03:わらしべ列車
四十万琢海・深澤匠
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私たちは、『わらしべ長者』という日本の昔話から着想を得て、紀の国トレイナートの電車内という限られた空間で、乗客の方々と交渉し物々交換を繰り返す『わらしべ列車』という企画を行いました。『わらしべ長者』とは、貧しい農民がわら一本から物々交換をして、最終的に城を得るという物語です。
手のひらほどの小さな花から始め、計11回物々交換の交渉をし、その内交換できたのは7回で、交渉自体を断る方は一人もおらず、みなさんが、『交換するものあるかな』と手荷物の中身を探してくださいました。また、次の交渉相手を探すため列車の中を動き回っている最中、交換してくださった方とすれ違う際に交換状況を聞かれるなど、交渉する時以外にも乗客の人びととのやりとりが生まれました。
この企画は、乗客の方々の善意なしには成り立ちません。関わった皆さんの気持ちそのものがこの企画に宿り、ひととものを、列車のようにつなげてくれました。