ぐるり調べ ::: はじめに

引き続き「ぐるり調べ」のこと。


ぐるりと円を描く

 3月11日の東日本大震災の影響で、学事日程が大幅に変更されて、新学期がはじまった。フィールドワークという方法や態度を志す学徒たちは、おそらくは、すぐに東北のまちへと足をはこんだにちがいない。個人的なことだが、ぼくは、あのあと、しばらく何もできなかった。気を紛らすような感じで、年度末の報告書を仕上げたが、ふだんどおりに本を読むことも、文章を書くこともできなかった。
 ゴールデンウィーク明けになって、少しずつ講義や研究会(ゼミ)のリズムも、戻ってきた。じつは、昨年度の秋に引き続き、この春学期も「ぐるり調べ」をおこなうことに決めていた。「ぐるり調べ」は、半径五〇〇メートルの円を描き、そのなかをくまなく歩いて観察するというものだ。前回は、「早稲田・慶應・東大 ぐるり調べ」だったので、いちおう東京六大学を見ておくことにして、「法政・明治・立教 ぐるり調べ」をスタートさせた。学生たちは、三つのグループに分かれて、まちの個性を感じるためのフィールドワークに出かけた。

2010年度の秋学期に引き続き、この春も「ぐるり調べ」という、まちの「個性研究」の方法について考えてみることにした。今回は、法政、明治、立教の3大学の界隈を、学生たちが歩いた。

「法政・明治・立教 ぐるり調べ」慶應義塾大学 加藤文俊研究室(2011年度春学期)
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