笹野利輝・武市陽子・橋本彩香


授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、遊びに耽る子どもたちがまちに溢れた時、僕ら「放課後こくばんクラブ」は黒板装置を片手に歩いてやって来る。その装置を地面に置き、20メートルの長さの黒板シートを持ち場いっぱいに広げたら始まりの合図。

集まった子どもたちは各々好きな色のチョークで自由に絵を描き始める。チョークの筆先は黒板を航行し、絵はそのまた上へと書き足され、重ねられる。幅わずか50センチしかない黒板は、夢中になって絵を描く子どもたちの距離を知らず知らずの内に縮めていき、コミュニケーションが体現される。「何描いてるの?」と質問しあったり、「上手だね!」と褒めあったり。ちょっとしたことがきっかけになって始まる会話が段々と大きくなり、気付けば黒板を中心に温かい場が出来上がる。

たそがれ時、夕焼け小焼けのコード進行がまちに鳴り響いたら潮時。僕らは装置の取手をクルクルと回し、隙間なく絵が描き込まれた黒板シートを巻き取ってゆく。巻き取ると同時に黒板消しが作動し、絵は綺麗サッパリ消えていく。絵という記録は残らなくても、出会った人びととの間に、共に過ごした時間の記憶が残ることが大切なのだ。次会えるかどうかは分からないけれども、「またね」と挨拶し、笑顔で解散する。僕らは黒板装置を片手に、次はどのまち行こうかと想いを馳せながら、帰路につく。

つづきは「フィールドワーク展XII:こたつとみかん」で!
◎オフィシャルサイト http://vanotica.net/fw1012/
◎Facebook https://www.facebook.com/fw1012/

1022 こくばん実験隊vol.1_5016.jpg

1227 @藤沢本町トレアージュ有隣堂_3780.jpg

1227 @藤沢本町トレアージュ有隣堂_4836.jpg

20151224_1766.jpg

20151224_2732.jpg

大根こくばんクラブ_1802.jpg