「フィールドワーク展」のフィールドワーク ::: 展示の裏側

展示の裏側:控え室の机の上の観察

フィールドワーク展は僕たちの成果を「見せる」ための舞台であり、そこには「見せる」ための工夫が詰まっている。だが、展示会は「見せる(見える)」ものだけで成り立っているわけではなく、その裏側にはたくさんの「見せない(見えない)」ものが隠れている。僕たちは「見せる」ものには注意を払い、意識的に準備をするが、「見せない」ものに対してはほとんど関心を持たない。そこで、もしかすると展示会の表に出てこない「見せない」ものにこそ、僕たちの素のふるまいが表れているのかもしれないと思い、外からは見えない控え室の様子、とくに机の上に置いてある物に注目して観察を行った。2月3日の14時半から16時20分までの間、10分おきに机の上の状態を記録した。

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控え室は、休憩室というよりは配布物などを作成するための作業部屋として利用されていた。机の上には様々な物が置かれていたが、作業のためのスペースと物を置くためのスペースはやんわりと分かれていた(図1)。カッターマットなどが目印となり、暗黙のうちに作業スペースが形成されていたようである。物を置くためのスペースについて見てみると、置いてある物が入れ替わったり移動したりといった動きが大きい場所(=「流れ」)と、置いてある物がほとんど変わらない場所(=「淀み」)があることがわかった(図2)。「淀み」の中心には紙袋などの大きな荷物が置いてあり、これが台風の目のように周りの荷物を吸い寄せているようだった。すでに物の置いてあるところには、さらに物を置きたくなってしまう心理が働くのだろうか。「流れ」から押し出された物は「淀み」に溜まっていくようで、「淀み」は時間が経つにつれて拡大していた。

机の上に置いてあった物の多くは飲食物や文房具だったが、財布やスマホ、カメラなどもいくつか置かれていたことが気になった。控え室ということで、たとえ鍵がかかっていなくても外部の人間が立ち入ることはないと考えたのだろうか。無用心ではあるが、これは加藤研のメンバーを信頼しているからこそ取れる行動であると言えるだろう。
今回は控え室の机の上のみを観察したが、同時刻に様々な場所の状態を観察し、それらを比較してみればよかったと、終わってから思った。ある場所で起こった出来事が別の場所にどんな影響を与えているのかなど、複数の場所同士のつながりに注目すればさらに面白い発見があったかもしれない。

(齊藤崇)