追跡・観察 エフ・カトウ先生
展示会とは加藤研の一年の活動の成果が展示される場所(機会)であり、卒プロやグルワ等の展示を見ることを主な目的に訪れる人が多いと思うが、その一方で一年に一度の機会に加藤研との交流を目的に訪れる人が多い機会でもあると感じた。その中で自分は本研究会の指導教員である加藤文俊教授(以下、先生)を尋ねてくる人が特に多く、また、先生への来訪者の属性が 過去に活動を共にした知り合い・同僚・初対面の人・学生・学生の親・同業者と多様であることに気付いた。そして、これらの多様な属性の来訪者に対し、それぞれに先生の振る舞いが変化することに注目し、学部四年生の竹下絢さんの作品である『しぐさをほどくと』で用いられた手法を模範として多様な属性の来訪者に対する先生の仕草を観察・分析し、そこから先生の仕草の特徴や相手によって変わる振る舞いから先生と来訪者との関係性を解き明かそうと試みた。また、先生を追跡することで先生の展示会場での動線を把握し、先生が展示会場という場でどのように動きどのような行動をするのかを調査した。
先生の動線が集中しているのは主に入り口の机付近と卒プロ・グルワの成果物が展示されているゾーンであった。十年まるごとゾーンに足を踏み入れるのは主に来訪者の方を案内する際であり、自ら十年の変遷を案内している姿がよく見られた。一方観察中にはOB展のゾーンに足を踏み入れる機会自体は少なかったがOB展に足を踏み入れた際の滞在時間は比較的長めであるという印象を受けた。
先生の振る舞いの変化については、初対面の人と知り合いの人とでは大きく振る舞いが変化することに気付いた。初対面の人と会話する際には声のトーンが比較的低く、視線も下向きであり身ぶりも少ない。一方、研究会の学生やOBとの会話においては声のトーンが高く、視線も相手の顔に向く。言葉遣いもリラックスしたものになり、会話に伴う身振り手振りの量も格段に増える。但し、学生の親と会話する場面では初対面であっても後者のような振る舞いが見られたように思える。知り合いの人、初対面の人と同時に会話する場面(新規履修希望の学生を紹介される場面等)では基本的に知り合いの方に目を向け会話を進め、時に視線を振る等のクセが見られた。また、名刺交換をする時の振る舞いは印象的で腰程度の高さに名刺を持ち視線は主に名刺に向け、時に視線を上げ頷くなどの動作を挟みながら会話する傾向が見られた。
(秋庭大志郎)


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