「フィールドワーク展」のフィールドワーク ::: 笹野君

笹野君

展示会2日目。午前11時15分。日曜日のせいか、朝のわりに人が多かった。その中で、熱心に四年生の作品を見ている1人の青年がいた。彼はニットの上着に、カーキ色のズボン。そしてショルダーバックに赤の革靴という格好であった。そして彼は、ひたすら、メモをとっていた。黒いペンに15㎝×15㎝程度のリングノート。文章を書いているようだ。そういえば、来期履修希望者の課題は、この展示会の印象に残った作品をレポートでまとめることであった。あぁ、なるほど。彼は、履修希望者なのか。となると、新2年生あるいは、新3年生なのだろうか。

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彼は、4年生展示→グループワーク展示→年表→OB・OG展という順序で、ゆっくりと丁寧に最後まで惜しみなく味わうかのように展示会場を見て回る。(レイアウト班からすると見事な動線を描いてくれた。)はっきりとした彼の正体は、よくわからないまま、時間が経過していった。しかし、彼がグループワーク展示のコーナーでキャプションを読んでいると、突然、4年の先輩であるゆいさんが彼に話かけていた。(「…!?」とわたし。)「うちの弟なんだ。」とゆいさんは、少し照れながら同期に話していた。彼は、笹野君。新2年生であった。だんだん彼のことが少しずつわかってきた。

そんな笹野君は、足を肩幅よりも少し開き、展示台に身体を適応させながら、展示物を見て、聴いて、考えていた。顔に表情はあまり出さないようだ。淡々とした姿であった。行ってはまた戻り、また先に進む…を繰り返していた。作品を比較しているのだろうか。反芻している様子は、とても真面目な印象を更に強めた。
年表のコーナーにおいても、笹野君はしゃがみ込んでポスターを眺めたり、冊子を手に取ったり。時には、全体を眺めるために一歩下がってあの巨大な壁の前にたたずんでいた。しばらくの間、一人でいたがいつしか友達と思われる同年代の青年と話していた。どうやら二人で展示会に来ていた。別行動をしていたということは、お互い加藤研志望なのか、それとも、じっくり見たい派なのか。理由はさておき、一通り見終えた彼らは、入り口付近のテーブルコーナーに腰をかけ、ジブンジテンや冊子を読み込んでいた。時には、他の加藤研のひとと話したりしていた。気がつけば、時刻は14時38分。友人と満足した表情で会場をあとにした。

(原田ふくみ)