加藤文俊研究室

パネルの余白

ORFでは、各ブースが非常に限られた空間の中で展示を行う。狭い空間だからこそ、一目見るだけでそれぞれの団体の「ブースの性格」がよくわかる。遠くからでも目を引くデザインで人を集めたいブース、中に入った人にじっくり読んでもらいたいブース、あまり誰にも来てほしくなさそうなブース。観察を続けていると、ORFという100を超えるブースが集まる混沌とした展示会においては、一目見た時の印象が非常に重要であることを強く感じた。すべての展示の中をじっくりと回る人は少なく、第一印象によって中に入るか、入らず通り過ぎるかを決めている来場者がほとんどであるように感じた。
多くのブースでは木のパネルを設置して、そこにポスターを貼り付けていたが、ブースの第一印象を決める大きな要因の一つは、そのパネルをどう使うかである。今回私は、「パネルの余白」に注目して、いくつかのブースのパネルの使い方を観察した。

大きなパネルにぽつんと一枚のポスターが貼ってある展示は、なんだか余白が多くてさみしい印象を受ける。遠くから見ると、むしろ余白のほうが目立ってしまうのである。パネルという枠のなかで、どのように余白をデザインすれば人に良い第一印象を与えられるブースになるのだろうか。観察の途中、興味深い展示の仕方をしているブースを見つけた。
まず1つ目は、パネルの左半分をスクリーンにして映像を映していた岡部正勝研究会のブースだ。この部分には、ポスターのような固定された展示はないため、このパネルの左半分は「余白」である。しかし、ここに映像を映している間は「余白」ではない。映像を消した瞬間に「余白」になるという中間領域なのである。そしてもう1つは、加藤研のブースの2つ隣にあった、水野大二郎研究会のブースだ。ここでは、木のパネルに直接文字を貼り付けていた。パネルという枠のなかに、ポスターというさらに区切られた枠を作らずに文字をのせたこの展示は、ひときわ目立っていた。文字が大きいのでとても見やすく、「パネルの余白」を効率的に使っているともいえるかもしれない。スケッチにも再現したが、いくつかの文字の端っこが切れていて、それも手作り感があって面白かった。
展示されている部分を黒く塗りつぶしてみると、意外と「余白」が多いことに気づく。「ブースの性格」を明確するにあたって、展示の第一印象を決める「展示の余白」を上手にデザインすることの重要性を感じた。

(望月郁子)