帰路に就く人々
11月22・23日。「あぁ、もう冬なんだな。」と思わせる、そんな季節になっていた。お気に入りのコートに袖を通して、普段いかない六本木に行くのは、ちょっと背伸びした気分。ブースに荷物を置き、名札を下げて、さあ「ORF2017 LAB IS THE MESSAGE 実験する精神」の始まりだ。
二日間、ホールA・Bの出口(入口)をフィールドに、帰路に就く人々を観察した。展示会場に入ると、来場客は名前を書き「GUEST」の名札とパンフレットが入った手提げ袋を配布される。会場の中でも各展示によって配布してくれる資料があり、それだんだんとたまっていくそれを、彼らは都合よく手に入れていた袋に入れていくのだった。会場全体は人によってさまざまだが、大抵20~1時間弱で周る人が多い。出口の前で人々を観察していると、来た時よりも膨らんだ手提げ袋を提げている人が多かった。各研究会によって作られた思い思いの研究成果や報告は、彼らの目にどう映ったのだろう。一人の女子が持つ袋から、「つながるカレー」が透けて見えた。来た時に渡されたはずの袋を手にさげない人も多かった。彼らはきっと自分のリュックサックやカバンに入れ、展示を回りやすくするため、帰りみち歩きやすくするための工夫を凝らしていたのだろう。
連日とも寒かったが、会場内は暖房が利きあたたかい。また人も混雑し、込み合う中ではコートのままでは動きづらいため、腕にかけて回る人が多いように思えた。出口では「どうだった?」なんて談笑しつつ、荷物をまたに挟みコートを着なおす男子大学生達。大きなマフラーをきれいに折りたたみ、小脇に抱え、タイムテーブルを眺めていた女子大生は、セッションを見に行くのか、会場を後にした。二日目は午前中雨が降っており、ひどく寒かった。昼過ぎには止み、おひさまが顔を覗かせたが、お昼過ぎは傘を片手に帰る人たちが多かった。赤ちゃんを抱っこし、コートを着せ、自分はリュックを背負いビニール傘を持ち、立ち話を止め帰って行ったお母さん。狭く込み合う会場内を回るのはさぞ大変だっただろう。母は強しだ。
二日目、18時過ぎには人もまばらになり、ほぼ出展者だけになった。大急ぎで片付けが始まり、どこの展示もコンパクトに梱包されていった。来年もこの場所に来る。そしてまた来てもらうために、僕らは研究を、観察を、続けていく。そうして、きちんとマフラーを巻いて、会場を後にした。
