手持ち無沙汰な人
普段なかなか合わない知人も、日頃は関心のないような研究をしれている教授も、この日は一同に会することができる。ある種の同窓会のような、あるいはある種の婚活パーティーのような、そんな両側面の要素を持つORFで、私は「手持ち無沙汰な人」に着目してフィールドワークを行った。
今回注目した「手持ち無沙汰な人」は主にORFでの出品者たちだ。多くの人々が様々な交流をするなかで、特にやることもなく、かといって積極的に自分から他人へ話しかけるわけでもない人々はどのように自分の時間を過ごすのかという関心をもとに、調査を行った。具体的には、五人の出品者を一定の時間15分から30分観察することにした。その「手持ち無沙汰な」状態とは自分の出品ブースにおいて、出品者として来場者を待っている状態を指す。さらに手持ち無沙汰な人を見つけたら、その対象者が次に新しく人と会話を始めてから5分観察することにした。
5人に共通していた「手のふるまい」は興味深かった。5人中2人は腕を組み、その他2人はiPadやペン、iPhoneなどのモノを持っていて、残りの一人はその両方を同時にしていた。まるで自分の手で何かをしていないと、誰かに怒られてしまうのかと疑ってしまうくらいの様子だった。次に興味深かった行動として、5人のうちの4人が共通してとった、「揺れる」という行為がある。この「揺れる」とは、体の重心を右足と左足で順に傾けながら、常に身体が動いている状態をつくっている様子だ。そして次に、5人中3人がとった行動として興味深かったのが「人に近寄る」という行為だ。対象者のうちの4人がいたブース内には、対象者と同じ研究会に所属していると思しき人が出品者として滞在していた。ブース内に来場者が入ってくることを期待しているかのように、対象者はブースの前を通る人々を眺める。そして待望の来場者がブース内に入り、その来場者がもう一人の出品者と団らんをするように話をし始めると、対象者はその出品者と来場者の方にゆっくりと自分の顔を向け、若干口角を上げたまま、その二人の様子を見る。そして徐々にその二人との距離を詰め、二人のうちの片方が自分たちに近づいている対象者に気がつくと、三人で会話を始める。
結果的に手持ち無沙汰な人は何もせずに立つということはしなかった。常に動くという行動を選択しているということは、もしかしたら手持ち無沙汰な人なんて本来は存在しないのかもしれない。
