加藤文俊研究室

カメラ

私が採集対象選んだのは「展示空間でのカメラによる記録方法」だ。ORFSFCの研究室の研究成果やプロジェクトを区切られた空間にショーケースして、学内はもちろん学外からの来場者に向けて発表する場だ。展示は基本的に、来場者はその展示を「見る」側であるが、ときに出展者も「伝える」だけではなく、展示空間そのものや来場者の動きを「見る」ために様々な工夫を凝らしていることもある。その観察方法は様々だが、今回は特にカメラによる撮影とその位置、形に着目してみた。
出展者の立場からして、ORFがどのような様子だったか、来場者がどのように展示を見ているのか、その展示スペースでどのように人が動いているのか、そういった行動を写真や動画に記録することは重要だ。研究会のwebページに載せる写真1つにしろ、定点観測としてもフィードバックや来年の展示を作るための比較対象としてなど様々なことに役立つ。
しかし、人が行き交う場で誰かが会話している様子、展示をじっくり見つめている瞬間に人にカメラを向けることはとても難しい。被写体になる人も、出展者がカメラを構えているとどこか緊張感を感じてしまうし、撮る側もどうしても人にカメラを向ける瞬間は気を使う。今回のORFは、もちろん一眼レフと出展者パスを首から下げてシャッターを切る人もたくさんいたが、そのようなカメラでの記録につきまとうジレンマに立ち向かう、小さなカメラがちらほら設置されていた。

 

1番多かったのは木組みやパネルの上、ブースの角などに小さなカメラを忍ばせているパターンだ。これはブース全体を写し、タイムラプスで時間と人の流れを記録している。その存在感は薄くカメラの存在に気づくのに苦労したが、隠し撮りとは違って見てわかる場所にあるし、その形はユニークだったりすることでどこか撮っていることを小さく主張しているようにも思えた。
また、人が視線を向けるモニターなどに小さなカメラを置いて、人の動きよりは人の表情を的確に観察できるようなカメラもあった。
このようなカメラは一度設置すれば、出展者は来場者と向き合うことだけに集中できる。カメラを向けられる緊張感を体験した出展者によって作られた展示空間なのか、単純にカメラの技術革新が進んだのか分からないが、4年前に初めて「来場者」として参加したORFに比べて、カメラをぶら下げてシャッターを切る人が確実に減ったと思う。
小さなカメラたちによって緊張感が取り除かれた展示空間が作り出されていた。

(柿嶋夏海)