加藤文俊研究室

カサの居場所

2017年11月23日の東京は午前中雨が少しパラつき、午後からは太陽が出てくるような天気だった。私が会場に着き採集をはじめたのは一五時ぐらいだった。会場はたくさんの人で賑わっており、カサを持っている人もちらほら目についた。カサを持っている人は午前中から会場に向けて出発した人かもしれないし、もしくはどこか遠くの県から来た人かもしれない。
カサは雨に濡れずに外を移動するための道具だ。大体の場合一人一本持ち、大きさやデザインは様々ある。そして、カサと出かけた日の過ごし方も色々である。
 来場者のほとんどは受付で配られたリーフレットの入った袋と一緒に傘を持ちながらブースで話を聞いていた。濡れたカサは、専用の袋にしまわれ袋の底には水が溜まっていた。濡れたカサを持っていた男性は水が重かったのかフック部分を持たずに肢の部分を掴んでいた。
カバンの中にしまわれているカサを採集することはできなかったが、リュックサックの側面のポケットに差し込まれている折りたたみカサを見ることができた。綺麗に折りたたまれたカサはおそらく濡れておらず使われていなかったが、同じ水物であるペットボトルの飲み物とともにしまわれていた。

来場者のカサだけではなく、出展者のカサも多く見つけられた。座っている椅子の背もたれにカサのフック状の柄を引っ掛けて置いていた。また、会場のブースを仕切っているパネル置き場に堂々と展示物かのように引っ掛けられているカサも見つけた。また、そのパネルの中にしまわれ少し隠れている傘も見つけた。
カサの色々な場所に居た。腕に引っ掛けられていたり、握り締められていたり、またはリュックサックのポケットに入れられていたり。そして隠れていることもあれば、堂々と目に見えるところにあることもあった。
展示という会場を考える場合、例えば20人がカサを持って来たら20本のカサをその空間に受け入れることになる。そう考えると、意外と空間を占めるカサの居場所も重要になってくるかもしれない。カサは一緒に移動できるようなかたちをしている。柄がフック状になっていて持ちやすくなっていたり、小さく折りたためてリュックサックにしまえたりする。カサの居場所はたくさんある。場づくりを考えるとき、晴れの日だけではなく、雨の日の展示のようすを考えてみるのもいいかもしれない。

 (松浦李恵)