はみだしたイーゼル
今年のORFでは、各出展者に縦155cmほどの大型の木製イーゼルによる展示空間が構成された。会場全体での統一感をだす一方で、一つのイーゼルの使い方が研究室の個性を示す。実はよく観察してみると、ほとんどの研究室はポスターをはったり、パネルをたてかけたり、同じような手法ばかりであった。これは、既存のイーゼルからはみ出さない方法である。しかし94個の展示出展者のなかで、6つの研究室による合計13枚の「はみだした」イーゼルを見つけることができた。
まず「はみだした」とは、イーゼルに何かを付け加えることで展示手法を拡大させることを意味する。そこには板やボルトが使用されている。例えば、石川研は大胆にもイーゼルと同じ幅の2枚の板を垂直に組み合わせることで、まるで本棚のようなものに変形している。加藤研は、イーゼルに少し厚みを出すような形で板を取り付け、小さな冊子をたくさん設置することができる。さらに筧研に関しては、小さなディスプレイがボルトでイーゼルに取り付けてられている。
なぜイーゼルたちはこのように改造されてしまったのか。それは、作品に対する適切な展示方法であると考える。前提として、今回の6つの研究室はほとんどが「xD」と呼ばれるSFCのデザイン系の研究室である。つまり、アウトプットの制作が研究のなかで要求される。冊子、本、立体物、ポートフォリオ、映像(デイスプレイ)など、形はさまざまである。けれどもこれらを展示しようとしたとき、イーゼルの平面では不十分であった。だから、物を置くための板が多様な姿で新たに付け加えられた。逆に言えば、展示空間を新たに拡大させることで、展示できるアウトプットも増えるという関係がある。
ORFでの「xD」の研究会や仲谷研のブースにはたくさんの人が集まり、まさにカオスの状態であった。なぜなら、多種多様なアウトプットは人を惹きつけるからだ。そこにはクオリティーも求められ、展示空間に人を招き入れる細かな部分にも気を使わなければならない。デザインを一つの軸に掲げている研究会だからこそ、展示までもデザインの枠組みとして捉えられていたことがわかる。ところで94個の展示出展者のうち、6つの研究会しかイーゼルの改造が行われていなかったことは、異端児が集まるSFCスピリットとして寂しくも感じられる。
