加藤文俊研究室

「待ち方」が可視化するエネルギー

今回、初めてORFに出展者として参加した私は人々の「待ち方」に目を向けてみた。お客さんに自分の展示へのファーストステップを踏んでもらう上で、私たち出展者の「構え」が大きな鍵を握ると感じたからだ。ここで記述した「待ち方」とは、採取対象者が自分の出展しているブースに来場者が訪れるのを待っている時のこと。立ち方や振る舞い、目線の位置など、様々な「待ち方」から表出される相手への想いや温度を「エネルギー」と称し、その数値についても考えてみた。

自分の展示に興味を持っている人々をブースの中から観察し、様子を伺っている際に目線はどこに向け、ブースのどこにどんなふうに立っていたら、彼が中へ入りやすいのか、私に話しかけやすいのか、しばしば考えていた。
出展したことで改めて気づいたのだが、来場者はブースに目を向け、中に入ろうとするまでの数秒間、脳内で様々な情報を処理している。展示されているアウトプット、ブースの雰囲気、そこで待ち構えている人の顔つきや態度。その空間に存在するありとあらゆる要素を瞬時に見極め、一歩中に入るべきかどうか決断する。つまり、私たちの「待ち方」から発信された情報によって、新しいつながりを作ることも、そのつながりを絶つこともできてしまうのだ。
「待ち方」を意識しながらORFをのんびり歩いてみると、それぞれ微妙に違っていて面白い。椅子に座って待っているのと立っているのとでは、それだけでお客さんに与えるインプレッションが大きく異なる。座っていても、まっすぐ前を見ているのと携帯やパソコンをいじっているのでは、感じるエネルギー量が全く違う。出展者同士で固まって話していたり、一人で緊張している人もいた。じっと見つめられたり、待ち構えられ過ぎても、逆に中に入りづらかったりする。腕を組んでいる人よりも、自然に前で手を組むくらいの方がリラックスしているように見えたり。
待ち過ぎても、待たな過ぎてもいけない。その狭間くらいの「待ち方」がちょうどいいように思えた。エネルギーのパーセンテージでいうと、65%〜89%くらいだろうか。それに、訪れる人によって自分に求められているエネルギー量も違ったりするのだから大変だ。いやはや、展示を説明するのはもちろん、「待つ」という作業もなかなか頭を使う。

(矢澤咲子)