あいだ
今年もオープンリサーチフォーラム(ORF)が開催された。100以上もの研究会が出展するこの会で、出展者の空間でも来場者の空間でもない、展示スペースでも通路でもない、そんな空間にある痕跡を採集した。展示スペースとその通路には常に出展者や来場者が行き交っていたが、このホールの周縁には壁から突き出たいくつかの木の箱(?)のようなものがあり、そこには久しぶりの友達と話をしたり、資料の記入をしたり、少しの時間休憩をしたり、そんな場面の痕跡がいくつか残されていた。
まず、はじめに発見したのはまだ使用されていないホットアイマスクだ。この展示会場にホットアイマスクはあまり似つかわしくないようにも感じられたが、展示をするにあたって研究会によっては直前まで根詰めて準備をしているので、出展者の誰かが休憩時間に使おうとしてここに忘れて置いていってしまったのかもしれない。ちょうど出入口に近いところにあったので、いつか戻ってきたときに気づけば良いなと思っていたが、わたしが見た4時間ほどの間は忘れられたままだった。次に発見したのは、「SBCの学び実験から仕組みへ」と書かれたパンフレットと小林博人研究会ベニアハウスプロジェクトへのContactボードだ。この2つは同一人物によって残されたものなのか。両方に関係するのは小林博人さんが関わっているということだ。だとすれば小林研の人が忘れていったと考えるのが妥当な気もするが、2つの微妙な距離感がその推測を難しくする。ただ、ここにContactボードを置いていても、そもそもこの場所にコンタクトする人がそんなにいないように感じられたのだが大丈夫だったのだろうか。最後に発見したものは、いくつかのパンフレットと飴のゴミ、蓋の開いたお茶である。来場者の方だろうか、お茶のラベルには「生活習慣が気になる方に」と書いてある。健康に気を遣っている人なのだろう。すぐそばに椅子があることから、ここで座って少し作業をしていたのかもしれない。お茶の蓋も開けっぱなしなので、急いでいたのだろう。間に合っていれば良いのだが…。
ホールの周縁には、普通の展示では生まれることのないであろう不思議な空間が生まれていた。それは、ORFが外に向けられた会であると同時に、SFCの過去と現在をつなぐ内部性をもった会であるという、その曖昧な境界を何よりも色濃く感じさせた光景だった。
